2306No.85

KAMAちゃんの「廃棄物ひとくちコラム」

 

地球温暖化防止について

 

  近年、地球環境問題として真っ先に挙げられるのは、温暖化の問題であり、その元凶となっているのが二酸化炭素であることは皆さんご承知のとおりです。

また、2021年には真鍋淑郎(まなべ・しゅくろう)さんが、二酸化炭素濃度の上昇が地球温暖化に影響するという予測モデルを世界に先駆けて発表し、ノーベル物理学賞を受賞したことは、私たち日本人にとっては嬉しいニュースでした。

 

地球を取り巻く対流圏には、二酸化炭素やメタン等の温室効果ガスが存在し、地球から放射される赤外線エネルギーの一部を待機中に留め、地球表面の温度を一定に保つ効果を持っています。ちなみに、これら温室効果ガスが大気中に存在しない場合の地球の平均気温は、マイナス19℃になると見積もられています。その点で、温室効果ガスは生物が生存していくためには必要不可欠なものではありますが、それも程度の問題ということになります。データによれば、西洋で産業革命が起こった18世紀半ばの二酸化炭素濃度は約280ppmでしたが、第2次世界大戦終戦時で320ppm、直近では416ppmという濃度が観測されています。特に、戦後約80年間における二酸化炭素排出量の増加は凄まじく、世界全体で50億トン程度から380億トンまで急増したことが、直接的に濃度上昇に結び付いています。

 

20世紀の最終盤になって、世界的に二酸化炭素削減対策の必要性が叫ばれるようになり、COP3が1997年に京都市で開催され「京都議定書」が採択されました。しかし、大規模排出国であるアメリカや中国が参加しなかったこと等から著しく実効性に欠けるものでした。その後、2015年12月にパリ協定が採択され、やっと地球規模で二酸化炭素削減に取り組む体制が出来上がりました。

これを受けて、日本国内でも二酸化炭素排出量削減に取り組むこととなり、2018年に「地球温暖化対策推進法」が制定され、「省エネ法(略称)」も改正されました。省エネ法は1979年に石油危機を契機に制定されたものでしたが、その目的を地球温暖化防止へと舵を切ることになりました。

 

こうした中で、先日環境省から2021年度の我が国の温室効果ガス排出・吸収量の取りまとめ結果が公表されました。

温室効果ガスの排出・吸収量は二酸化炭素換算で11億2,200万トンで、前年度より2.0%(2,150万トン)の増加となり、基準値となっている2013年度比では、20.3%(2億9千万トン)の減少となりました。前年比増加の理由は、新型コロナ感染症に起因する経済停滞からの回復を主な要因として挙げています。また、吸収量は、4,760万トンで、4年ぶりに増加に転じています。増加の原因は、森林整備の着実な実施や木材利用の推進等を要因としています。

 

2030年度目標及び2050年カーボンニュートラルに対する進捗(出典:環境省)

 

我が国も2050年カーボンニュートラルに向けて歩みを始めたところですが、今後ある時点で壁に当たり、減少傾向が停滞することが予測されます。その時に、国民全体が不便さや費用上昇を受け入れてもそれに向かっていけるかが大きなカギとなります。

 廃棄物処理との関係では、焼却処分は助燃剤の使用分を含め大きな二酸化炭素排出源となりますし、管理型廃棄物の埋立は、メタンガス発生の要因となります。一方で、木くずチップの燃料化や再生材の使用は確実に温室効果ガスの削減に繋がります。このような点で、廃棄物処理の現場においても、温室効果ガス削減の意識をもって処分方法を選択することは、今後益々重要となってきます。