2210No.77

KAMAちゃんの「廃棄物ひとくちコラム」

廃棄物処理法はどう変わったか(その9:特別管理廃棄物第2回)

 

前回に続いて、特別管理廃棄物についてです。

この表を基に、特別管理産業廃棄物に該当する物について、順に解説していきます。

最初の廃油は、引火性を有する引火点70℃未満の廃油のことで、ガソリン・灯油・シンナー等が該当します。油の種類は問わず、引火点が規定値未満のものは全て該当します。強い爆発性を有することで特別管理廃棄物に指定されています。

次のpH2以下の廃酸、pH12.5以上の廃アルカリは、腐食性を有する強酸・強アルカリのことです。これも同様に酸・アルカリの種類は問わず、液体のpH値で判断します。人の皮膚や目に強い刺激を与え健康被害を生じるおそれがあることから特別管理廃棄物に指定されています。

4番目の感染性廃棄物は、医療機関や試験研究機関から発生する血液等が付着した廃棄物のことです。例えば、注射針、点滴器具等は感染性産業廃棄物に該当し、ガーゼや包帯等は感染性一般廃棄物に該当します。前者は金属くずや廃プラスチック類に血液等が付着し、後者は出処限定外の繊維製品(一般廃棄物)に付着していることがその判断の分岐点になります。しかし、法規定で感染性一般廃棄物は、感染性産業廃棄物との混合処理が認められていますので、一般廃棄物処理業許可に関係なく感染性産業廃棄物と同時に処理されているのが実態です。また、国では「感染性廃棄物処理マニュアル(通知)」を公表しており、法律規定を超えてこの通知に従った処理が求められています。代表的なものは保管容器で、液漏れがしない、耐貫通性や密閉性があるなどの要件を満たしたものだけが感染性廃棄物保管容器として認められています。

なお、感染性を有するか否かは医師の判断によることと規定されていますが、血液等が付着した医療廃棄物についてはその全てが感染性廃棄物として扱われることが一般的です。

5番目は、高濃度PCB廃棄物で絶縁油としてPCBが使用された電気機器や蛍光灯安定器が該当します。この廃棄物に関しては、処分先が全額政府出資の中間貯蔵・環境安全事業株式会社(通称:ジェスコ)に限定されていることが特徴です。全国を5ブロックに分割し計画的な処理が進められていますが、当初予定した処分期限はとうに過ぎており、所有事業者の協力のもと適正かつ迅速な処理を進めて行くことが課題となっています。皆さんの事業所にも保管中の安定器がある又は極端なケースでは高濃度PCBを含有する電気機器を現在も使用しているということがあるかも知れません。管轄の行政機関と連絡を密にして迅速な対応をお願いします。

次の低濃度PCB廃棄物は、非意図的にPCB油が混入してしまった廃油のことで、高濃度PCB廃棄物とは区分しています。例えば、絶縁油の交換や補給時に本来混じる筈がないPCBを含有する油を使用したこと等によってこの状態が発生しています。従って、皆さんが所有している絶縁油を使用した電気機器については、特管物である低濃度PCB廃棄物に該当するか否かを判断するため、採取可能であれば、現時点でPCB含有量の把握をしておくことが必要であり、採取不可能なときは廃棄時に必ずそれを分析することが求められます。なお、低濃度PCB廃棄物の処分場所は高濃度PCB廃棄物と異なり、国の認定を受けた又は処分業の許可を取得した民間の産業廃棄物許可業者の手によって行われることになっています。

7番目の廃石綿等は、吹付アスベストの除去物のことです。これについても、「石綿含有廃棄物等処理マニュアル(通知)」が発出されており、中皮腫(肺がん)発生防止の観点から、様々な規定が設けられています。廃石綿等は固型化又は薬剤等による安定化処理をした後、二重袋に梱包して排出することが義務付けられているほか、処分方法としては高温溶融又は管理型最終処分場での埋立処分に限定されています。

次の廃水銀等は、平成29年の法改正で新しく設けられた分類で、国際条約である「水俣条約」の発効に合わせ追加されたものです。体温計や血圧計等に使用されていた廃水銀や蛍光管破砕施設の排ガス処理設備で回収された廃水銀が該当します。

最後の有害物質を含む廃棄物は、有害物質による人の健康や生活環境への影響を回避するため特管物に指定されているものです。該当する廃棄物の種類としては、鉱さい・ばいじん・燃え殻・汚泥等の固形物と廃酸・廃アルカリの液状物に分かれています。前者については、「溶出基準」により、後者については「含有基準」により特管物該当性を判断することになります。

 

解説は以上となりますが、産業廃棄物排出事業者の皆さんは、自分の事業所は特管排出事業所になることはない=自社から特管物が発生することはないと決めつけていることはありませんか。例えば、社内で塗装作業があり、そこで使用した油性塗料の残液が生じた、老朽化した脱脂液を初めて交換する等の場面では、特管物が発生することになります。どうか、通常は特管物が発生しない事業者の皆さんであっても、特管物に対する認識をお持ちいただきますようお願いします。