2209No.76

KAMAちゃんの「廃棄物ひとくちコラム」

廃棄物処理法はどう変わったか(その8:特別管理廃棄物第1回)

 

今回は、2018年10月号以来、約4年ぶりに廃棄物処理法の改正強化の歴史について、書いてみたいと思います。取り上げる題材は、特別管理廃棄物についてです。

法律では、第2条第3項に「特別管理一般廃棄物」が同条第5項に「特別管理産業廃棄物」が定義されていますが、この規定が初めて法律に登場するのは平成3年の法律大改正のときです。

この規定が設けられた背景として次の2つのことが挙げられます。

1点目は、バーゼル条約(正式には「有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約」)が平成2年3月に採択され、国際的に有害廃棄物を適正に管理するシステムの構築が求められていたことが挙げられます。2点目は、全国各地の医療機関で起きた使用済み注射針の不適正な管理を原因とする針刺し事故によるB型肝炎感染死亡事例の多発が挙げられます。

産業廃棄物の適正処理の確保が大きな課題となる中で、処理業許可制度の改革、処理基準や罰則の強化などとともに、この時から特別管理廃棄物に係る新たな規制が始まりました。

 

改めて、「特別管理廃棄物」とは、爆発性(引火性)、毒性(有害性)、感染性その他人の健康又は生活環境に係る被害を生じさせるおそれがあるものを包括して規定しています。具体的には政令でそれを列挙しており、下表のとおりとなっています。

特管物と言えば後者の特別管理産業廃棄物を指すことが一般的で、前者の特別管理一般廃棄物は馴染みが薄いものとなっています。実態として、発生量自体が極めて少量であることやPCB使用製品については、特措法の規定に基づき処理されていること、感染性一般廃棄物や有害ばいじん等は、同種の特管産廃処理ルートでの取扱特例(法第14条の4第17項)が設けられていることなどから、一般廃棄物処理業者による収集運搬や処分行為は現実的に存在しません。

また、法第12条の2第8項では、特別管理産業廃棄物を生じる事業者は、その処理に関する業務を適切に行わせるため、「特別管理産業廃棄物管理責任者」を置かなければならないことを規定しています。この管理責任者になるためには、一定の経験年数や講習会受講が必要となることは、皆さんご承知のとおりです。

この他にも、特管物の判断基準や管理上の留意点等排出事業者として知っておいていただきたい点も多数ありますので、それについては次回以降書いてみたいと思います。